接触点を分けて受けさせます
1〜2本の前歯が力を集中して受けると、その歯から欠けます。側方運動では犬歯が先に当たるようにし、前歯には瞬間的にしか力がかからないよう接触を分散します。
歯ぎしりとラミネートベニア
カウンセリングでよく出るご質問です。答えは「できる・できない」ではなく「条件が変わる」です。歯ぎしりは文献でも確認された明確なリスク要因ですが、その力をどこへ逃がすかを設計し、夜間に保護装置を使う条件であれば進めることが多くあります。
PORCELAIN VENEER The Risk
318症例を平均10年近く追跡した研究では、歯ぎしりのような異常機能がある場合、ラミネートベニアの失敗リスクが7.7倍と報告されています。セラミックは押される力には強い一方、横にねじる力には弱い材料です。夜間に繰り返される側方力が接着面を少しずつ揺らし、ある日突然の破折や脱離として現れます。
Self Check
ご本人が気づいていない場合がほとんどです。次のうち2つ以上に当てはまる場合は診断段階で必ず確認します。
BEFORE / AFTER
パク・ジョンウク院長がカンナム・ドリーム歯科で施術した実際のラミネートベニアのケースです。写真をタップすると術前・術後を拡大して比較できます。
上記の術前・術後写真は、カンナム・ドリーム歯科(パク・ジョンウク院長)で施術した実際の臨床ケースです。治療結果は患者様お一人おひとりの状態により異なり、いかなる施術にも個人差や副作用の可能性があります。
Design Changes
同じラミネートベニアでも、力がかかる構造の作り方を変えます。歯ぎしりのケースで変わるのは次の4点です。
1〜2本の前歯が力を集中して受けると、その歯から欠けます。側方運動では犬歯が先に当たるようにし、前歯には瞬間的にしか力がかからないよう接触を分散します。
長くするほどてこが長くなり、破折リスクが上がります。希望より少し短めに設定し、必要であれば仮歯の段階で数週間使ってから確定します。
切削が象牙質に及ぶと接着力が大きく落ちます。文献でも象牙質に接着した場合の失敗リスクは約10倍でした。歯ぎしりのケースほど最小限の切削が安全域になります。
薄く透明感のある長石系ポーセレンは審美的に有利ですが、強い力が予想される場合は切縁部の厚みを確保するか、強度の高い材料を組み合わせて設計します。
{ 歯ぎしりのある方にラミネートベニアを行うとは、力をなくすのではなく逃がす設計をするということです。 }
Decision
同じ歯ぎしりでも、程度と併存する状態によって判断が変わります。カウンセリングで次の基準をもとに一緒に決めます。
| 状態 | 判断 | 併せて行うこと |
|---|---|---|
| 軽度の歯ぎしり・エナメル質が十分 | ほとんどの場合は可能 | ナイトガード・6か月ごとの点検 |
| 中等度・前歯の摩耗を伴う | 条件付きで可能 | 咬合分散の設計・ナイトガード必須・仮歯期間を延長 |
| 重度・咬合崩壊・強い食いしばり | ラミネートベニア単独は推奨しません | 咬合の安定化を先行し、必要ならクラウンなど他の方法も検討 |
| 顎関節の痛み・開口制限を伴う | 保留 | 顎関節症状の安定後に再評価 |
Aftercare
歯ぎしりのケースの寿命は、施術当日よりもその後の管理で決まります。
ナイトガードを毎日使います
最も確実な保護装置です。数日使って引き出しにしまってしまうと、ない状態と同じです。
接着後の2週間は力を控えます
接着が完全に落ち着く期間です。硬いもの、噛みごたえのあるものは避けてください。
前歯で噛み切る動作を減らします
麺・海苔・パンを前歯で噛み切る習慣は、側方力をそのままベニアに伝えます。
6か月ごとに咬み合わせを見直します
歯は少しずつ動きます。接触が片側に集中し始めたら、調整で先に防ぎます。
ストレスの強い時期はこまめに確認します
歯ぎしりの強さは時期によって変わります。あごが痛むときは次の検診を待たないでください。
Evidence
このページの判断基準は次の長期追跡研究に基づいています。
20年推定生存率82.9%(5年94.4%・10年93.5%)
84名・318症例を平均118か月追跡した研究です。失敗の44.8%はセラミックの破折で、歯ぎしりなどの異常機能がある場合は失敗リスクが7.7倍と報告されています。
Beier US, Kapferer I, Burtscher D, Dumfahrt H. Clinical performance of porcelain laminate veneers for up to 20 years. Int J Prosthodont. 2012;25(1):79-85. PMID 22259802
切削がエナメル質内にとどまれば生存率99% — 象牙質が露出すると失敗リスクは約10倍
580症例を最大12年追跡した全体生存率は86%、辺縁だけがエナメル質にある場合は94%でした。削った量よりも「どこまで削ったか」が結果を分けています。
Gurel G, Sesma N, Calamita MA, Coachman C, Morimoto S. Influence of enamel preservation on failure rates of porcelain laminate veneers. Int J Periodontics Restorative Dent. 2013;33(1):31-9. PMID 23342345
13研究のメタ分析 — 累積生存率89%(追跡中央値9年)
ガラスセラミックは94%、長石系ポーセレンは87%で、合併症は破折・チッピング4%、脱離2%、著しい変色2%、二次う蝕1%でした。
Morimoto S, Albanesi RB, Sesma N, Agra CM, Braga MM. Main Clinical Outcomes of Feldspathic Porcelain and Glass-Ceramic Laminate Veneers: A Systematic Review and Meta-Analysis of Survival and Complication Rates. Int J Prosthodont. 2016;29(1):38-49. PMID 26757327
上記の数値は学術文献に報告された一般的な臨床結果であり、当院の治療成績や個人の結果を保証するものではありません。実際の経過は歯の状態・咬み合わせ・生活習慣によって異なります。
歯の状態によって可能な範囲が異なります。お気軽にお問い合わせください。
FAQ
多くの場合、条件が整えば進めます。咬合を分散するよう設計し、ナイトガードを併用することが条件です。ただし咬合が崩れている場合や食いしばりが非常に強い場合は、他の方法も併せて検討します。
歯ぎしり自体がなくなるわけではないため、ラミネートベニアを使っている間は継続をおすすめします。使用をやめた後に破折で再来院される方は実際に多くいらっしゃいます。
咀嚼筋の力を一時的に下げる方法として補助的に用いられることはありますが、効果の持続期間が限られ、歯ぎしり自体をなくすものではありません。ナイトガードの代わりにはなりません。
すり減って短くなった長さと形をセラミックで戻すのはラミネートベニアが得意な領域です。ただし、なぜすり減ったのかを併せて解決しなければ同じことが繰り返されます。摩耗のページで詳しくご案内しています。
エナメル質をそのまま残すほうが接着には有利です。ただし削らない方法は歯が少し厚くなるため、すべてのケースに適するわけではありません。形態と咬合を併せて判断します。
多くは該当する歯のみ再製作します。ただし同じ場所が繰り返し欠ける場合は、その歯の問題ではなく咬合設計を見直すべきというサインです。
本ページは診療のご案内のための一般的な情報です。診断や治療方法、治療期間は患者様お一人おひとりのお口の状態によって異なる場合があり、正確な内容はご来院・検査の上でご案内いたします。
コラム
同じテーマを診療室でどう判断しているか、実際の症例とともに記した記録です。
まず歯ぎしりの程度と咬み合わせの状態を確認します。今の状態で可能か、可能なら何を併せて行う必要があるかからお伝えします。